懐風堂

これは、僕の空想である。

元日。初詣に出かけ、行った先で屋台の飯を食べ歩く。

2013年最後の3日間も例年通りコミケで締めくくった。冬コミに関してはもう去年の出来事なのでここで詳細は取り上げない。いろんな人と出逢って、いろんな作品に出会って、いつもとは違ったいつも通りの素晴らしいコミケだったとだけ云っておこう。

 

行く年を有明の海に沈めてきたら、来る年をお迎えしにいかねばならない。何処へいくのかは人それぞれだが、私は毎年違った場所へ初詣をすることにしている。これは、年が代わる瞬間を初詣先の神社や寺院で迎えたいという趣旨だ。年末になると「来年の初詣は何処にしようか」と考える。この世には神社も寺院も無数に存在する。いや、有限ではあろうが1人の人間が正月に初詣をすることができる回数を考えれば無数と云っても差し支えないだろう。頭を悩ませなくとも初詣先の候補はいくらでも浮かんでくる。その中で、コミケ後に残った体力と金銭で行くことができる場所は何処か。自ずと首都圏内に限られてくる。結果、2013年の初詣は川崎大師平間寺となった。

 

わざわざコミケが終わった後の疲れた身体に鞭打って出かけなくても良いのではないか。それはその通りなのだが、それではなんとなく面白くない。終夜、電車が動き続けて、丑三つ刻にも関わらず神域には人が溢れている。こんな現象は大晦日から元旦にかけてしかありえないだろう。私が毎年、年明けの瞬間を初詣先で迎えるのは、こういった人出を見たいからである。そして、あのなんとなく哀しいような嬉しいような雰囲気が好きだからだ。

 

http://www.mapple.net/sp_newyear/ranking_01.asp

上記のサイトによると、去年の川崎大師平間寺の3ヶ日における人出は全国第3位で約298万人。私が行ったときも当然のことながら大行列だった。さながら超大手サークルである。いや、それ以上だろうか。ここではコミケのように整然とした列があるわけではなく、人々は欲しい本があって並んでいるわけでもなく、お賽銭箱も広々としたスペースがとってあるので、列の進み方は速かった。初詣と云ってもほんの少しの賽銭を投げてちょっと手を合わせるだけである。

 

一通り参拝を済ませたら、境内や参道を埋め尽くした屋台で腹ごしらえ。普段ならば見向きもしないようなものだが、こういうときだけはいいんじゃないかって気分にもなる。年に1度の贅沢、とはちょっと違うような気がするけれど、だいたいそんな感じだろう。 高い上に味も良くない串に刺した焼肉やら蒸し芋やらモツ煮込みやらを食べ歩く。そしてどういうわけか、美味いのだ。

 

夜も明けて、お腹もいっぱいになり、そろそろ暇にもなってきたので川崎大師を後にする。そのまま始発の新幹線に乗って西へ。そして実家に帰る途中、京都で下車して伏見稲荷大社へと参ることにした。

 

 川崎大師は真言宗の寺院である。つまり、伏見稲荷大社は神社への初詣ということになる。そんな屁理屈をこねくり回しながらも、理由は当然別にある。

 

http://inarikonkon.jp/

1月からスタートする新アニメ『いなり、こんこん、恋いろは。』の舞台が何を隠そう伏見稲荷大社なのだ。この作品は「ヤングエース」で連載中の漫画が原作となっている。私は原作の1巻が発売された当初から大好きで、アニメ化にもずっと期待をしていた。人と神との関わり方、切なくて眩しい青春の恋愛と友情と。関西が舞台だけあって笑いもアリ。今季イチオシ、間違いない。境内にもポスターが貼ってあったし(笑)。

 

ちょっと早めの舞台探訪も兼ねて、伏見稲荷大社を訪問。当然ながらここもかなりの人出である。先述のサイトによると、去年の人出は約270万人。全国第5位、関西では1番ということになる。

 

伏見稲荷の参道には縁日風の屋台も出ていたけれど、もともと店舗を構えている商店もたくさんある。本殿へ向かう前にここでも腹ごしらえ。唐揚げやら甘酒やらいろいろ食べたけれど、その中でも一番美味しかったのは稲荷名物いなり寿司。

 

http://www.fusimi-inari.com/?p=154

「祢ざめ家」というお店のいなり寿司をいただいた。1個140円という値段を安いと思うか高いと思うかは分かれるところだろうけれど、とにかく美味い。油揚げの甘辛い味付けが心地よい。寿司飯に混ぜ込んである胡麻はパリっとした食感がしっかり生きている。私はいなり寿司がこんなに美味しい食べ物だとは思っていなかった。それくらいに美味い。伏見稲荷に立ち寄ったならば是非ともここには足を運んでほしい。

 

さて、2014年。今年はどんな1年になるのだろう。

 

いなり、こんこん、恋いろは。 (1) (角川コミックス・エース 326-1)

いなり、こんこん、恋いろは。 (1) (角川コミックス・エース 326-1)